ピマリシン点眼液・眼軟膏とは
ピマリシン点眼液・眼軟膏は、一般名を「ピマリシン(別名:ナタマイシン)」という抗真菌薬です。目の表面、とくに角膜(黒目の透明な部分)にカビの一種である真菌が感染して起こる「真菌性角膜炎」の治療に使われます。
抗真菌薬は、細菌に効く抗菌薬(いわゆる抗生物質)とはまったく別のグループのお薬です。真菌は細菌とは構造が大きく異なるため、専用のお薬でなければ太刀打ちできません。ピマリシンは、真菌の細胞膜と呼ばれる「外側の壁」に作用してこれを壊し、真菌が増えるのを抑えます。
このお薬の大きな特徴は、国内で目に直接使える抗真菌薬がきわめて限られているなかで、点眼液と眼軟膏として使える数少ない選択肢である、という点です。そのため真菌性角膜炎の治療では、中心的な役割を担うことが少なくありません。
抗真菌薬(点眼・眼軟膏)全体については、抗真菌薬(点眼・眼軟膏)の系統ページで解説していますので、あわせてご覧ください。
効果・特徴(系統内での位置づけ)
真菌性角膜炎は、細菌による角膜炎にくらべて頻度こそ高くありませんが、進行するとお薬がなかなか効きにくく、治療が長引きやすい病気です。ピマリシンは、この治療において以前から使われてきた基本的なお薬のひとつです。
ピマリシンならではのポイントを整理すると、次のようになります。
- 点眼液と眼軟膏の両方がある:日中は点眼液を、就寝前など長く目に留めておきたいときは眼軟膏を、というように使い分けができます。
- 目に直接届けられる:角膜の感染症は、目の表面に直接お薬を届けられるかどうかが重要です。点眼や眼軟膏という形は、患部にお薬を行き渡らせるのに適しています。
- 真菌の種類によって効きやすさが異なる:真菌にもいくつかの種類があり、お薬の効きやすさには差があります。どの真菌が原因かによって、ピマリシンが選ばれることもあれば、ほかの抗真菌薬と組み合わせて治療することもあります。
なお、効果のあらわれ方や副作用の出方には個人差があります。同じ真菌性角膜炎でも、感染の深さや原因となった真菌、目の状態によって治療方針は一人ひとり異なります。
副作用・注意点
ピマリシンは目に直接使うお薬で、体への影響は比較的少ないと考えられていますが、それでも副作用がまったくないわけではありません。
報告されることがあるものとしては、点眼後の目の刺激感やしみる感じ、充血、かゆみ、目のまわりの違和感などがあります。多くは一時的なものですが、症状が強い場合や続く場合は我慢せず眼科医に相談してください。
また、まれに薬の成分に対するアレルギー反応(発疹、強いかゆみ、まぶたの腫れなど)が起こることもあります。こうした症状に気づいたときは、使用を続ける前に主治医へご連絡ください。
真菌性角膜炎そのものが治りにくい病気であるため、「使ってもなかなか良くならない」と感じても、自己判断でやめたり量を変えたりしないことがとても大切です。効果の確認や治療の見直しは、診察と検査をもとに眼科医が行います。
使い方のポイント
使う回数や量、点眼液と眼軟膏のどちらをどのタイミングで使うかは、感染の程度や経過によって医師が判断します。ここでは、治療をうまく進めるための一般的な心がけをお伝えします。
- 指示された回数・期間を守る:真菌性角膜炎の治療は数週間以上の長期にわたることが珍しくありません。症状が落ち着いてきても、自己判断で中断すると再び悪化することがあります。
- 点眼と眼軟膏を併用するときは順番に注意:複数のお薬を続けて使うときは、少し時間をあけるなど、医師・薬剤師の指示に従ってください。
- コンタクトレンズは原則中止:治療中はコンタクトレンズの使用を控えるよう指示されることが一般的です。装用の再開時期も自己判断せず確認しましょう。
- 保管方法を守る:お薬ごとに適切な保管方法があります。添付の説明や薬剤師の案内に従って保管してください。
真菌性角膜炎は専門的な管理が必要な病気です。定期的に受診し、経過を診てもらいながら治療を続けることが回復への近道です。
よくある質問
Q. 市販で買えますか?後発品(ジェネリック)はありますか?
ピマリシンの眼科用製剤は、医師の診断と処方が必要なお薬で、ドラッグストアなどで市販されているものではありません。真菌性角膜炎は専門的な診断と継続的な管理を要するため、必ず眼科を受診してください。後発品の有無や入手方法については、処方を受けた医療機関や薬局でご確認いただくのが確実です。
Q. 症状が良くなったら早めにやめてもいいですか?
自己判断での中止はおすすめしません。真菌性角膜炎は見た目が改善しても内部で感染が残っていることがあり、早くやめると再発につながるおそれがあります。やめる時期は診察で医師が判断します。
このページは一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断や治療に代わるものではありません。効果や副作用のあらわれ方には個人差があります。目の痛みや見えにくさ、充血などが続くときは、自己判断で市販薬を使ったり治療を中断したりせず、できるだけ早く眼科を受診してください。