「タチオン点眼用」は、初期の老人性白内障(加齢にともなう白内障)の進行を遅らせる目的で使われる点眼薬のひとつです。ここでは、この薬ならではの特徴や使い方のポイントを、できるだけわかりやすくお話しします。
白内障進行抑制点眼薬という系統全体のしくみや、ほかの薬との位置づけについては、白内障進行抑制点眼薬のまとめで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
タチオン点眼用とは
タチオン点眼用は、一般名を「グルタチオン」というお薬です。グルタチオンは、もともと私たちの体の中にも存在している成分で、細胞をさびつき(酸化)から守るはたらき、つまり抗酸化作用をもっていることで知られています。
白内障は、目の中でレンズの役割を果たす「水晶体」が、年齢とともに少しずつ濁ってくる病気です。この濁りには、酸化によるダメージが関係していると考えられており、タチオン点眼用はその抗酸化作用を期待して、初期の白内障に対して用いられます。
また、このお薬は白内障だけでなく、角膜(目の表面にある透明な膜)の病気に対して使われることもあります。
ここで大切な点をひとつ。タチオン点眼用は、あくまで「進行をゆるやかにする」ことを目的とした薬であり、すでに濁ってしまった水晶体を透明に戻したり、白内障を治したりするものではありません。白内障の根本的な治療は、濁った水晶体を取り除いて人工レンズに入れ替える手術です。点眼薬と手術の関係については、白内障とは(基礎から治療まで)もご参照ください。
効果・特徴
タチオン点眼用の特徴は、なんといっても「用時溶解(ようじようかい)」というタイプであることです。これは、あらかじめ液体の状態で売られているのではなく、使うときに自分で粉(または錠剤状の成分)と溶解液を混ぜ合わせて点眼液を作る、という方式です。
なぜこうした手間のかかる形になっているかというと、グルタチオンは水に溶けた状態だと成分が安定しにくく、時間がたつと効果が落ちやすい性質があるためです。使う直前に溶かすことで、できるだけ新鮮な状態で点眼できるよう工夫されているわけです。
系統内での位置づけとしては、同じ白内障進行抑制点眼薬でも作用のしくみが異なる薬がいくつかあります。タチオン点眼用は、その中で「抗酸化作用」に着目したお薬という位置づけになります。
副作用・注意点
タチオン点眼用は、比較的おだやかなお薬とされていますが、点眼薬である以上、まったく副作用がないわけではありません。報告されているものとしては、目のかゆみ、刺激感、充血、まぶたの皮膚炎(目のまわりの赤みやかぶれ)などがあります。
こうした症状が出るかどうか、また程度には個人差があります。点眼後に強い違和感や、目のまわりのかゆみ・腫れが続くようであれば、自己判断で使い続けず、処方を受けた眼科で相談してください。
また、用時溶解タイプは、一度溶かしたあとは長く使えるものではありません。溶かしてからの使用期間には決まりがありますので、薬剤師や医師の説明に従ってください。
使い方のポイント
最大のポイントは、先にお話しした「使うときに溶かす」という準備です。説明書のとおりに溶解液と混ぜ、しっかり溶けてから使うようにしましょう。
点眼の際は、容器の先がまつ毛やまぶた、目に触れないように気をつけてください。容器の先が触れると、雑菌が入って薬液が汚染される原因になります。ほかの点眼薬と併用している場合は、数分ほど間隔をあけてからさすと、薬がきちんと目にとどまりやすくなります。
なお、具体的な1日の回数や1回の滴数は、症状や状態によって医師が判断します。決められた使い方を守り、効果が感じにくいからといって自己判断で量を増やしたりしないようにしましょう。
よくある質問
Q. タチオン点眼用は市販されていますか?後発品(ジェネリック)はありますか?
タチオン点眼用は、医師の処方が必要な医療用医薬品で、ドラッグストアなどで市販されているものではありません。後発品や市販薬の有無は時期によって変わることがありますので、入手や切り替えについては薬局・眼科でご確認ください。
Q. 点眼を続ければ白内障は治りますか?
残念ながら、点眼で白内障そのものが治ることはありません。タチオン点眼用は進行をゆるやかにすることを目的とした薬で、視力に影響するほど濁りが進んだ場合は手術が検討されます。点眼を続けながら、定期的に眼科で経過をみてもらうことが大切です。
このページの内容は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断や治療を保証するものではありません。効果や副作用の出方には個人差があります。気になる症状があるときや、お薬の使い方に迷うときは、自己判断で中止せず、必ず眼科医に相談・受診してください。