キサラタン点眼液とは
キサラタン点眼液は、一般名を「ラタノプロスト」というお薬の代表的な先発品です。主に緑内障や高眼圧症の治療に使われ、目のなかの圧力(眼圧)を下げる目的で処方されます。
緑内障は、眼圧などの影響で視神経が少しずつ傷み、視野(見える範囲)が欠けていく病気です。一度傷んだ視神経は元には戻りにくいため、治療の中心は「眼圧を下げて、これ以上の進行をできるだけ抑える」ことになります。キサラタン点眼液は、その眼圧を下げるための「点眼薬による治療」の中で、最初に選ばれることの多いお薬のひとつです。
このお薬は、薬の系統(分類)でいうとプロスタグランジン関連薬というグループに属します。このグループは、目のなかにたまった水分(房水)が外へ流れ出ていく通り道のうち、「ぶどう膜強膜流出路」と呼ばれるルートからの排出を促すことで眼圧を下げます。系統全体のしくみや、ほかのプロスタグランジン関連薬との比較については、プロスタグランジン関連薬のページでくわしく解説していますので、あわせてご覧ください。ここでは、キサラタン点眼液ならではの特徴を中心にお伝えします。
ラタノプロストは長年にわたって世界中で使われてきた成分で、緑内障治療における「定番」とも言える存在です。1日1回の点眼で効果が期待でき、続けやすいことも、多くの方に処方されてきた理由のひとつです。
効果・特徴
1日1回で眼圧を下げることが期待できる
キサラタン点眼液の大きな特徴は、1日1回の点眼で眼圧を下げる効果が期待できる点です。点眼の回数が少ないと、忙しい日常のなかでも続けやすく、「うっかり忘れ」を減らしやすいというメリットがあります。緑内障の治療は数年、数十年と長く続くことが多いため、無理なく継続できることはとても大切です。
ただし、効果の出方や下がり方には個人差があります。同じお薬でも、よく効く方もいれば、思ったほど下がらない方もいらっしゃいます。実際にどの程度効いているかは、定期的な眼圧測定や視野検査で確かめながら判断していきます。
プロスタグランジン関連薬の「代表的な先発品」
ラタノプロストは、プロスタグランジン関連薬の中でも早くから使われてきた成分で、キサラタン点眼液はその代表的な先発品にあたります。長く使われてきた分、医師にとっても使い慣れたお薬であり、緑内障の治療を始めるときの「最初の一手」として選ばれることが多くあります。
同じプロスタグランジン関連薬の仲間には、ほかの成分のお薬もあります。それぞれに効き方や副作用の傾向、感じ方に少しずつ違いがあるため、合わなかった場合に別の系統内のお薬へ切り替える、という選択肢もあります。系統内での位置づけや他剤との違いについては、系統ページを参考にしてください。
他のお薬と組み合わせて使うこともある
緑内障の治療では、1種類の点眼薬だけで十分に眼圧が下がらない場合、複数のお薬を併用することがあります。キサラタン点眼液は、別の系統の点眼薬と組み合わせて使われることもあります。どのお薬をどう組み合わせるかは、眼圧の状態やお一人おひとりの体質をふまえて医師が判断します。
副作用・注意点
どんなお薬にも、効果の裏側に副作用の可能性があります。効果や副作用の出方には個人差がありますが、キサラタン点眼液をはじめとするプロスタグランジン関連薬には、この系統に特有の副作用が知られています。あらかじめ知っておくと、あわてずに対応できます。
この系統に特有の副作用
- 虹彩(茶目)の色素沈着 … 茶色い部分(虹彩)の色が、点眼を続けるうちに少しずつ濃くなることがあります。とくに左右で目の色が異なって見えるようになる場合があるため、片目だけに使う方は注意が必要です。
- まぶたの皮膚の色素沈着 … 目のまわりの皮膚が、くすんだように色濃くなることがあります。
- まつ毛が濃く・長く・太くなる … まつ毛が伸びたり増えたりすることがあります。見た目の変化として気になる方もいらっしゃいます。
- 上眼瞼溝深化(目がくぼんで見える) … まぶたの上のくぼみが深くなり、目元がくぼんだ印象になることがあります。
これらは命に関わる副作用ではありませんが、見た目の変化として気づきやすいものです。とくに色素沈着は、いったん起こると元に戻りにくいことがあります。気になる変化があれば、自己判断でやめずに眼科医に相談してください。
そのほかの注意点
- 点眼直後に、目のしみる感じ、充血、かゆみ、異物感などを感じることがあります。
- まつ毛が伸びることで、点眼液が目のまわりに広がり、まぶたの皮膚に色素沈着が起こりやすくなることがあります。点眼後に目からあふれた液を、清潔なティッシュなどでそっと拭き取っておくと、皮膚への影響を減らしやすいとされています。
- 妊娠中・授乳中の方、ほかに使っているお薬がある方は、必ず医師・薬剤師に伝えてください。
なお、自己判断で点眼を中止すると眼圧が再び上がり、緑内障の進行につながるおそれがあります。副作用が気になる場合でも勝手にやめず、まずは眼科医に相談・受診をおすすめします。
使い方のポイント
具体的な回数や量は処方の指示に従っていただきますが、点眼をより効果的に・安全に行うための一般的なコツをご紹介します。
- 手をよく洗ってから点眼する … 容器の先やまぶたを清潔に保つことが、目の感染予防につながります。
- 容器の先を目やまつ毛に触れさせない … 先端が触れると、薬液が汚染される原因になります。
- 点眼後は目を閉じて、目頭を軽く押さえる … しばらく(1分ほど)目を閉じ、目頭(鼻の付け根に近い部分)を指で軽く押さえると、薬が鼻やのどへ流れにくくなり、目にとどまりやすくなります。
- あふれた液はそっと拭き取る … 目のまわりに残った液をふき取ると、まぶたの皮膚への色素沈着を減らすのに役立ちます。
- ほかの点眼薬と併用する場合は時間をあける … 複数の点眼薬を使うときは、続けてささず、少し時間をおくとそれぞれの効果が出やすくなります。間隔の取り方は医師・薬剤師に確認してください。
- 冷蔵保存などの保管方法を守る … 保管条件は製品ごとに決まっています。説明書や薬剤師の案内に従ってください。
点眼を忘れてしまったときや、複数のお薬の順番に迷ったときは、自己判断せず、眼科医・薬剤師に相談すると安心です。
後発品・市販
キサラタン点眼液は先発品ですが、同じ有効成分であるラタノプロストの後発品(ジェネリック医薬品)が多数販売されています。後発品は先発品と同じ有効成分を含み、一般に費用を抑えやすいという特徴があります。緑内障の治療は長期にわたることが多いため、費用面で後発品を希望される方も少なくありません。
先発品にするか後発品にするかは、効き方の感じ方や使い心地、費用などをふまえて、医師・薬剤師と相談しながら決めるとよいでしょう。なお、製剤による使用感の違いを感じる方もいらっしゃいますので、気になる点があれば遠慮なく伝えてください。
また、ラタノプロストをはじめとする緑内障の治療用点眼薬は、医師の処方が必要なお薬です。ドラッグストアなどで市販薬として購入することはできません。緑内障が疑われる症状がある場合や、眼圧が気になる場合は、まず眼科を受診してください。
よくある質問
Q. 点眼を始めると一生続けないといけませんか?
緑内障の多くは、眼圧を下げて進行を抑え続けることが治療の中心になるため、長期間続けることが一般的です。ただし、状態や治療方針はお一人おひとり異なります。自己判断で中止すると眼圧が再び上がるおそれがあるため、やめたいと感じたときは必ず眼科医に相談してください。
Q. まつ毛が伸びたり、目がくぼんできた気がします。どうすればよいですか?
まつ毛が濃く・長くなる、目元がくぼんで見える(上眼瞼溝深化)といった変化は、このお薬を含むプロスタグランジン関連薬で起こりうる副作用です。見た目の変化が気になる場合は、別の系統のお薬への変更など、選択肢を一緒に考えることができます。自己判断でやめず、眼科医に相談してください。
Q. 先発品と後発品では効果に差がありますか?
後発品は先発品と同じ有効成分(ラタノプロスト)を含みます。効果の感じ方や使い心地に個人差を感じる方もいらっしゃいますが、選び方については医師・薬剤師と相談して決めると安心です。
このページの内容は、お薬を理解するための一般的な情報です。効果や副作用の出方には個人差があり、お一人おひとりの状態によって適したお薬や使い方は異なります。気になる症状や副作用があっても自己判断で中止せず、眼科医に相談・受診をおすすめします。