配合点眼薬(緑内障)とは
緑内障の治療では、目の中の圧力(眼圧)を下げるために点眼薬を使います。1種類の点眼薬だけでは眼圧が十分に下がらない場合、作用のしくみが異なる薬を組み合わせて使うことがよくあります。
このとき問題になりやすいのが「点眼の本数が増えてしまうこと」です。本数が増えると、差し忘れたり、間隔をあけて点眼するのが面倒になったりして、治療が続けにくくなりがちです。
そこで登場するのが「配合点眼薬」です。これは、2種類の有効成分をあらかじめ1本のボトルにまとめた点眼薬のこと。1本で2つの成分を同時に使えるため、点眼の手間を減らしながら眼圧を下げることを目的としています。
緑内障は、いったん進んでしまった視野(見える範囲)を元に戻すことが難しい病気です。だからこそ、毎日コツコツと治療を続けること(アドヒアランス)がとても大切で、配合点眼薬はその助けとなるお薬です。緑内障そのものについては、緑内障の解説ページもあわせてご覧ください。
どんなしくみで効くのか
配合点眼薬の最大の特徴は、「2成分を1本にまとめ、点眼回数や本数を減らすこと」にあります。
たとえば、これまでA薬とB薬の2本を別々に差していた方が、その2成分を含む配合薬1本に切り替えると、ボトルが1本で済むようになります。すると、次のような利点が期待できます。
- 点眼する本数・回数が減り、差し忘れが起きにくくなる
- 1本目と2本目の間隔(数分あけて差すこと)を気にしなくてよくなる場合がある
- 持ち歩く薬が減り、外出先や旅行でも続けやすい
- 防腐剤などに触れる回数が減ることが期待できる組み合わせもある
組み合わされる成分は、たとえば「眼圧を下げる作用の異なる薬どうし」です。働き方の違う2成分を一緒に使うことで、より効果的に眼圧を下げることを狙っています。
ただし、効果や副作用の出方には個人差があります。配合薬が向いているかどうかは、これまで使っていた薬や目の状態によって変わりますので、眼科医とよく相談して決めることが大切です。
主な薬の種類
緑内障の配合点眼薬には、含まれる2成分の組み合わせによっていくつかの種類があります。代表的なものを商品名(含まれる成分)でご紹介します。
| 商品名 | 含まれる主な成分 |
|---|---|
| ザラカム | ラタノプロスト + チモロール |
| タプコム | (2成分の配合薬) |
| デュオトラバ | (2成分の配合薬) |
| ミケルナ | (2成分の配合薬) |
| コソプト | ドルゾラミド + チモロール |
| アゾルガ | (2成分の配合薬) |
| アイラミド | ブリモニジン + ブリンゾラミド |
| グラアルファ | リパスジル + ブリモニジン |
このように、組み合わせる成分の種類によって、特徴や使い心地が少しずつ異なります。チモロールという成分(ベータ遮断薬)を含むものは喘息や心臓の持病がある方では注意が必要になるなど、組み合わせごとに気をつける点が変わります。
どの配合薬が合うかは、現在の眼圧や使ってきた薬、持病などをふまえて眼科医が選びます。自己判断で別の薬に変えたりせず、処方された薬を続けるようにしましょう。
どんなときに使うか(適応)
配合点眼薬は、主に緑内障や高眼圧症の治療に使われます。次のような場面で選ばれることが多いお薬です。
- 1種類の点眼薬だけでは眼圧が目標まで下がらないとき
- すでに複数の点眼薬を使っていて、本数を減らして続けやすくしたいとき
- 差し忘れが多く、治療がうまく続けられていないとき
緑内障は自覚症状が乏しいまま進むことが多いため、「症状がないから大丈夫」と感じても治療を続ける必要があります。配合薬は、そうした長く続ける治療を少しでもラクにするための選択肢のひとつです。
なお、どの段階でどの薬を使うかは患者さんごとに異なります。適応の判断は必ず眼科医が行いますので、受診のうえで相談してください。
副作用・注意点
配合点眼薬は、2つの成分が入っているため、それぞれの成分に由来する副作用が起こりうる点に注意が必要です。組み合わせによって異なりますが、一般的に次のようなものが知られています。
- 点眼後の目のしみる感じ、充血、かゆみ、異物感
- まぶたや目のまわりの色素沈着、まつ毛が伸びる・濃くなる(プロスタグランジン関連成分を含む場合)
- 苦味を感じる、のどの違和感
- チモロール(ベータ遮断薬)を含むものでは、ぜんそくや心臓・血圧への影響が出ることがある
特に、**喘息・慢性の呼吸器疾患・心臓の持病・徐脈(脈が遅い)**などがある方は、含まれる成分によっては使えない、あるいは慎重に使う必要があります。持病やほかに使っている薬は、必ず事前に眼科医・薬剤師に伝えてください。
副作用の感じ方や程度には個人差があります。気になる症状が出ても、自己判断で中止せず、まずは眼科医に相談しましょう。点眼を急にやめると眼圧が上がってしまうことがあります。
上手な使い方
点眼薬の効果を十分に引き出すには、正しい差し方を身につけることが大切です。配合薬にも共通する一般的なコツをご紹介します(差す回数やタイミングは処方の指示に従ってください)。
- 点眼の前に手をきれいに洗う
- 容器の先がまつ毛や目に触れないようにする(雑菌が入るのを防ぐため)
- 1滴で十分です。あふれた分はティッシュでそっとふき取る
- 点眼後はまばたきをせず、まぶたを軽く閉じて目頭を1分ほど指で押さえると、薬が鼻やのどに流れにくくなり、効果が高まりやすく全身への影響も抑えやすい
- 他の点眼薬と併用する場合は、数分以上あけてから次を差す
- 決められた時間に差す習慣をつけると、差し忘れを防げます
配合薬は「本数を減らして続けやすくする」ためのお薬ですので、この機会に点眼の習慣を整えてみるのもよいでしょう。
よくある質問
Q. 配合薬に変えると、効き目は弱くなりませんか? A. 配合薬は、もともと別々に使っていた2成分をまとめたものです。基本的には同じ成分が入っているため、効果が大きく変わるわけではありません。ただし効き方には個人差がありますので、切り替え後も定期的に眼圧を確認します。気になる点は眼科医に相談してください。
Q. 1本にまとまっているなら、回数も自分で減らしてよいですか? A. 点眼の回数やタイミングは、薬の種類や目の状態に合わせて決められています。自己判断で減らすと眼圧が十分に下がらなくなることがありますので、必ず指示どおりに続けてください。
Q. うっかり差し忘れたときはどうすればよいですか? A. 気づいた時点で差すのが基本ですが、対応は薬によって異なります。2回分をまとめて差すのは避け、迷ったときは眼科医や薬剤師に確認しましょう。
このページの内容は一般的な情報をまとめたものです。お薬の効果や副作用の出方には個人差があり、合うお薬は人によって異なります。自己判断で中止・変更せず、気になる症状や疑問があるときは、自己判断せずに眼科医へ相談・受診をおすすめします。