「網膜剥離で手術が必要と言われたけれど、外側からふさぐ手術と内側からの手術があるらしい」「どちらを選ぶの?」「術後に近視が強くなると聞いて不安」――網膜剥離の手術には大きく分けて2つの方法があり、その一つが 強膜内陥術(きょうまくないかんじゅつ)、別名 強膜バックリング です。
まず、いちばん大切なことをお伝えします。網膜剥離は、放置すれば失明に至ることもある緊急の病気 です。「飛蚊症が急に増えた」「光がチカチカ走る」「視野にカーテンのような影がかかってきた」――こうしたサインがあれば、手術の種類を調べるより前に、その日のうちに眼科を受診してください。早く治療を始めるほど、視力を守れる可能性が高まります。
このページでは、すでに網膜剥離と診断された方や、手術の説明を受けてこれから受ける方に向けて、患者さんからよくいただく「外側からの手術ってどんなもの?」「硝子体手術とどう違う?」「費用は?」「術後の生活は?」といったご質問にお答えする形で、強膜内陥術を整理してご説明します。
網膜剥離の病気そのものについては 網膜剥離の解説ページ を、裂孔だけの段階で行う予防的なレーザー治療は 網膜光凝固の解説 もあわせてご覧ください。
様子を見ずに今すぐ眼科へ:網膜剥離を疑う緊急サイン
網膜剥離は時間との勝負です。これは手術が必要かどうかのチェックではなく、『すぐ受診すべきサインが出ていないか』を確かめるためのものです。一つでも当てはまれば、様子を見ずにその日のうちに眼科を受診してください。
飛蚊症が「急に」増えたり、視界の端で光がチカチカ走ったりしていませんか?
もともとの軽い飛蚊症が長く変わらない場合とは違い、「急な増加」や「光視症(こうししょう)」は網膜裂孔・網膜剥離のサインかもしれません。心当たりがあれば、その日のうちに眼科で散瞳して網膜を診てもらうことを強くおすすめします。
一つでも当てはまる方は、手術の種類を調べるより前に、様子を見ずその日のうちに眼科を受診してください。網膜剥離は早いほど視力を守れます。
特に『カーテンのような視野欠損』『急な飛蚊症と光視症』がそろう場合は、夜間・休日でも様子を見ないでください。まずかかりつけ眼科の留守電案内を確認し、つながらなければ #7119(救急安心センター/地域により番号や運用が異なります)に電話して眼科のある医療機関を確認します。連絡や受診のときは『急に飛蚊症が増えて視野が欠けてきた』と眼の症状であることを最初に伝えると、案内がスムーズです。
これは簡易的なチェックであり、診断ではありません。網膜剥離は放置すると失明しうる緊急疾患です。気になるサインがあれば、迷わず眼科を受診してください。
強膜内陥術とは
網膜剥離の多くを占める 裂孔原性網膜剥離(れっこうげんせいもうまくはくり) は、網膜にあいた穴(裂孔)から目の中の水分が網膜の下に入り込み、フィルムにあたる網膜が眼球の壁から剥がれてしまう病気です。これを治すには、裂孔をふさいで、剥がれた網膜を元の位置(眼球の壁)に戻す 必要があります。
強膜内陥術は、この治療を 眼球の外側から 行う手術です。ひとことで言えば、白目(強膜)の外側からシリコン素材で壁を内側へ凹ませ、その壁を裂孔に下から当てて穴をふさぎ、剥がれた網膜を眼球壁に接触させて元の位置に戻す 手術です(診断から術後までの具体的な手順は、後述の「手術の流れ」で順を追ってご説明します)。
ポイントは、白目(強膜)の外側から壁を凹ませて裂孔をふさぐ「外側からの手術」 だという点です。目の中に器具を入れて硝子体を取り除く硝子体手術(内側からの手術)とは、考え方が異なります。シリコン素材は基本的にそのまま残しますが、合併症があれば後で取り除くこともあります。
麻酔は 局所麻酔または全身麻酔 で、手術時間は剥離の状態によりますが目安として およそ1〜2時間程度 です。術式や施設によって、数日程度の入院 となるのが一般的です。所要時間・麻酔・入院の有無は剥離の状態や施設によって異なります。
適応:どんな網膜剥離に向くか
強膜内陥術が選ばれやすいのは、おおむね次のような 裂孔原性網膜剥離 です。ここで大切なのは、決め手は「若いか高齢か」という年齢そのものではなく、裂孔のタイプ・位置・後部硝子体剥離(加齢で硝子体が網膜から離れる現象)の有無・剥離の形態 だという点です。年齢はあくまで副次的な目安にすぎません。どちらの術式を選ぶかは、これらを総合して担当医が判断します。
- 裂孔が下方や周辺部にある、単一・小さい裂孔(とくに萎縮円孔型)場所が特定しやすく、外側からバックルで的確にふさぎやすい剥離が向きます。後部硝子体剥離がなく、硝子体による牽引が少ない剥離では、硝子体を取り除く手術より外側からふさぐ強膜内陥術が向きます
- 増殖性変化などの合併が少ない、比較的シンプルな剥離
- 有水晶体眼(まだ白内障手術を受けていない、自分の水晶体がある目)外側からの手術なので、自分の水晶体に手を加えずに済みます
- 比較的若い方の網膜剥離若い方では上記の条件(後部硝子体剥離がない・萎縮円孔型・有水晶体眼)がそろいやすいため、結果として強膜内陥術が選ばれやすくなります。逆に、若くても上方裂孔・弁状裂孔・後部硝子体剥離の合併・増殖性硝子体網膜症(PVR)があれば硝子体手術になり得ますし、高齢でも下方の萎縮円孔型なら強膜内陥術が選ばれます
なぜ若い方や有水晶体眼で強膜内陥術が選ばれやすいのでしょうか。硝子体手術には、手術をきっかけに白内障が進みやすい という側面があります。比較的若く、まだ自分の透明な水晶体がある方では、これを避けられる外側からの手術にメリットがあるのです。実際、有水晶体眼の裂孔原性網膜剥離では、強膜内陥術のほうが術後の白内障の進行が少なく、視力の経過も良好だったとする報告があります。一方、すでに白内障手術を終えて眼内レンズが入っている目(偽水晶体眼)では、この差は目立たず、硝子体手術が選ばれることが多くなります。
裏を返すと、剥離の範囲が広い・複数の裂孔がある・後部硝子体剥離をともなう・偽水晶体眼・眼底が見えにくい といった場合は、内側から処理できる硝子体手術のほうが向きます。近年は器具の進歩もあり、裂孔原性網膜剥離の手術の多くは硝子体手術が選ばれる傾向にありますが、強膜内陥術が適した剥離も確かにあり、両者は使い分けられています。
手術の流れ
ここでは、診断から手術当日、術後までの一般的な流れをご説明します。網膜剥離は緊急性が高いため、検査から手術まで短期間で進むことが多く、スケジュールや入院期間は施設・剥離の状態によって異なります。あくまで目安としてご覧ください。
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診断と手術の決定
散瞳眼底検査で裂孔の位置や剥離の範囲を確認し、OCTで 黄斑(網膜の中心)まで剥離が及んでいるか を調べます。眼内の出血などで眼底が見えにくい場合は超音波検査も行います。これらの結果から、強膜内陥術と硝子体手術のどちらが向くか、どれくらい急ぐかを判断します。網膜剥離は時間との勝負のため、短期間で手術へ進むことが多い です。
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術前準備・麻酔
麻酔は 局所麻酔または全身麻酔 で行います。剥離の範囲や手術の見込み時間、患者さんの状態に応じて選びます。感染予防の準備をして手術に臨みます。
- 3
裂孔の凝固
剥がれた網膜の穴(裂孔)の周囲を 冷凍凝固(またはレーザー) で囲んで固めます。これにより、網膜が復位したあとに再び穴から剥がれるのを防ぎます。
- 4
バックルの縫着(壁を凹ませる)
眼球の外側から、シリコン素材(バックル)を強膜に縫いつけて壁を内側へ凹ませます。凹んだ壁が裂孔の位置に下から当たることで、穴がふさがり、剥がれた網膜が眼球壁に接触して復位します。これが「強膜内陥術」と呼ばれる理由です。
- 5
網膜下液の排液(必要な場合)
網膜の下にたまった液が多い場合は、強膜を小さく穿刺して 液を眼の外へ排出 することがあります。網膜が早く戻りやすくなる一方、出血や網膜の穿孔などの合併症が起こり得るため、本当に必要かどうかは慎重に判断します。
- 6
術後の経過観察
術後は 抗菌薬の点眼(感染予防)と抗炎症の点眼 を続けます。網膜がきちんと復位したか、再剥離が起きていないかを定期検査で確認します。麻酔が切れると目のゴロゴロ感や軽い痛みを感じることがありますが、多くは数日で和らぎます。見え方が安定するまでには時間がかかり、回復には個人差があります。
受診・入院に備えて伝えること・持っていくもの
緊急受診のときに、次の情報や持ち物があると診察や入院の手続きがスムーズです。ただし網膜剥離は時間との勝負なので、手元にあるものだけで構いません。準備よりまず受診を優先してください(忘れた書類はあとから持参・郵送でも対応できます)。
- 症状が出た日と経過「いつから」「どう変わってきたか(影が広がっているかなど)」を伝えると、緊急度の判断に役立ちます
- きっかけや既往目を強くぶつけた・打った心当たり、強度近視、過去に網膜裂孔・網膜剥離を指摘されたことがあるか
- 服用中の薬・お薬手帳血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)など、手術に関わる薬を確認します
- 健康保険証(マイナ保険証)・あれば限度額適用認定証入院・手術の費用負担を抑えるのに役立ちます。なくても受診はできます
費用の目安
強膜内陥術は 健康保険が適用される手術 で、高額療養費制度の対象 です。費用は剥離の状態・術式・入院日数・施設・所得区分によって変わるため、正確な額は受診先の医療機関や加入する保険者にご確認ください。
費用と保険の扱い(目安)
すべて概算の目安です。費用は剥離の状態・入院日数・所得区分・年度により変動します。正確な額は医療機関や保険者にご確認ください。
| 区分 | 内容 | 保険・自己負担の扱い |
|---|---|---|
| 手術・入院費 | 強膜内陥術と数日程度の入院 | 健康保険が適用される(1〜3割負担) |
| 高額療養費制度 | 1か月の自己負担が上限を超えた分 | 所得区分に応じた上限を超えた分が払い戻される |
| 差額ベッド・食事など | 個室を希望した場合の差額や入院中の食事代 | 保険外のため自己負担になることがある |
表に書ききれない実務的なポイントを、いくつか補足します。いずれも目安であり、施設や状態によって異なります。
- 緊急手術でも、まず治療を優先できます網膜剥離は時間との勝負です。費用の心配で受診をためらわず、まず治療を受けてください。保険適用の手術なので、あとから費用の整理ができます
- 「限度額適用認定証」やマイナ保険証で、窓口負担を抑えられます事前に提示しておくと、窓口での支払い自体を高額療養費の上限額までにとどめられ、いったん高額を立て替える必要がなくなります。緊急入院に間に合わなくても、あとから高額療養費として払い戻しを受けられます
なお、高額療養費制度は 自己負担上限額の見直しが議論されており、適用される上限額が今後変わる可能性があります。詳しい自己負担額や最新の上限額・施行時期は、加入している健康保険組合や市区町村の窓口、厚生労働省の最新情報でご確認ください。
硝子体手術との違い
網膜剥離の手術には、外側からの強膜内陥術 と 内側からの硝子体手術 があります。どちらが優れているということではなく、剥離の状態や年齢・水晶体の有無によって使い分ける ものです。下の表で、考え方の違いを整理します。
強膜内陥術と硝子体手術の使い分け
どちらを選ぶかは、裂孔の位置や剥離の範囲、年齢、水晶体の有無などをふまえて担当医が判断します。見え方や経過には個人差があります。
| 比較の軸 | 強膜内陥術(バックリング) | 硝子体手術 |
|---|---|---|
| 手術のしかた | 眼の外側から壁を凹ませてふさぐ | 眼の中に器具を入れ硝子体を取り除く |
| 向いている人 | 比較的若い方・有水晶体眼・単一/周辺の裂孔 | 剥離が広い・複数裂孔・後部硝子体剥離・偽水晶体眼 |
| 白内障への影響 | 進みにくい(自分の水晶体を温存) | 手術をきっかけに進みやすいことがある |
| 術後の姿勢制限 | 基本的にうつ伏せは不要 | ガスを入れた場合はうつ伏せ姿勢が必要なことがある |
| 屈折(度数)の変化 | 近視や乱視が強まることがある | 比較的少ない(ただし白内障の影響あり) |
大きな違いを言葉で補足します。強膜内陥術は 自分の水晶体に手を加えない外側からの手術 のため、若い方や有水晶体眼で白内障の進行を避けたい場合に向きます。一方、硝子体手術は 眼の中から直接処理できる ため、剥離が広い場合や、目の中に器具を入れて網膜をていねいに戻したい複雑な剥離に向きます。
硝子体手術では、網膜を内側から押さえるために眼の中に ガスやシリコンオイル を入れることがあり、その場合は術後にしばらく うつ伏せ姿勢 が必要になります。強膜内陥術は外側からの手術なので、基本的にこのうつ伏せ姿勢は必要ありません。この点は、どちらの手術になるかで術後の過ごし方が変わるポイントです。
ひとつ安心していただきたいのは、中高年の方や、すでに白内障手術を終えて眼内レンズが入っている方では硝子体手術が選ばれることが多い という点です。これは後部硝子体剥離が起きていることが多いなど、その方の目に硝子体手術が最も適しているからであって、強膜内陥術より劣った選択を勧められているわけではありません。どちらも確立された標準的な手術 で、勧められた術式はあなたの目の状態にいちばん合った方法です。「なぜ自分はこちらの手術なのだろう」と疑問があれば、遠慮なく担当医に理由をたずねてください。
なお、硝子体手術については当サイトに独立した解説ページがまだありませんが、上記のような特徴をふまえ、最終的にどちらの手術にするかは担当医とよくご相談ください。
手術後の生活
繰り返しお伝えしますが、網膜剥離は自宅で治せる病気ではありません。術後の生活で大切なのは、傷を守りながら、再剥離などの異変に早く気づくことです。
術後しばらくは目のゴロゴロ感や軽い痛み、充血を感じることがありますが、多くは数日で和らいでいきます。また、強膜内陥術では壁を凹ませて眼球の形が少し変わるため、術後に近視や乱視が強まる(屈折が変化する)ことがあります。見え方が落ち着くまでメガネの作り直しは待つのが一般的です。回復や見え方には個人差があります。
術後しばらく守ること(セルフケア)
- 処方された抗菌・抗炎症の点眼を、指示どおりの回数・期間きちんと続ける
- 目をこすらない・押さえない・強くぶつけないよう注意する
- 重い物を持つ・強くいきむなど、目に力がかかる動作は指示があるまで控える
- 洗顔・洗髪・入浴・運転・仕事や運動の再開時期は、必ず主治医の指示に従う
- 見え方が安定するまでメガネの作り直しは待つ(屈折が変化することがあるため)
- ※ 網膜剥離は自宅で治せる病気ではありません。日ごろの心がけは再剥離を早く見つけるためのものです
すぐに眼科へ(緊急サイン)
- 術後に視野のカーテンや黒い影が新たに出た・広がってきた(再剥離の疑い)
- 飛蚊症が急に増えた・光がチカチカ走る
- 目の強い痛み・ズキズキする痛みが出てきた
- 充血がどんどん強くなる、目やにが急に増えた(感染の疑い)
- 急に見えにくくなった――時間外でも我慢せず手術先へ連絡を
術後の危険サインは、早く気づいて受診することが何より大切です。とくに 視野のカーテンや黒い影、急な視力低下 は再剥離の可能性があり、強い痛み・充血の悪化・目やにの急増 は感染の可能性があります。「夜だから」「明日まで様子を見よう」と我慢せず、異変を感じたらすぐに手術を受けた医療機関に連絡してください。
リスク・合併症
強膜内陥術は確立された手術ですが、ゼロリスクではありません。まれですが、次のような合併症が起こり得ます。
| リスク | 頻度の目安 | 内容・対処 |
|---|---|---|
| 近視化・乱視などの屈折変化 | 起こりうる | 壁を凹ませて眼球の形が変わるため、術後に近視や乱視が強まることがある。見え方が落ち着いてからメガネを合わせ直す |
| 眼圧上昇 | ときに | 術後に一時的に起こることがあり、多くは点眼で対処 |
| 複視(ものが二重に見える) | ときに | バックルの位置や目の周りの組織の癒着で眼の動きに影響が出ることがある。程度により経過を見るが、改善しない場合はシリコン素材の除去を検討 |
| 再剥離(網膜がまた剥がれる) | ときに | 初回手術で復位しても、一部で再び剥離が起こることがある。原因として 増殖性硝子体網膜症(PVR=網膜の表面に膜が張って網膜を引っぱる変化) が代表的。多くは術後数か月以内だが、それ以降に生じることもあり、追加手術で対応する |
| シリコン素材の感染・露出 | まれ | まれにバックルに細菌感染が起きたり、術後に露出したりすることがある。痛み・充血・目やにが出たら早めに受診。必要に応じて除去手術を行う |
| 網膜下液の排液にともなう合併症 | まれ | 排液操作を行った場合、眼底出血、網膜の穿孔、脈絡膜出血(みゃくらくまくしゅっけつ=まれだが重い出血)、網膜が穿刺孔へ挟み込まれる網膜嵌頓(かんとん) といった重い合併症が起こり得る。眼内炎のリスクもあり、必要性を慎重に判断して行う |
合併症のなかでも、シリコン素材の感染 には注意が必要です。頻度は高くありませんが、起きた場合は 痛み・充血・目やに といった症状が出るため、術後にこうした変化があれば早めに眼科へご連絡ください。また、術後しばらくたってから視野のカーテンや黒い影が出てきた場合は、再剥離 の可能性があります。「手術したから大丈夫」と油断せず、見え方の変化に気づいたらすぐに受診してください。
予後・治る見込み(復位率と視力)
裂孔原性網膜剥離の手術は、初回の手術で網膜がしっかり戻る割合が高い ことが知られており、報告によりおおむね9割以上とされています。ただし結果には個人差があり、巨大な裂孔や複雑な剥離では数値が下がることもあります。
ここで最も大切なのは、手術前に黄斑(網膜の中心)が剥がれていたかどうか で、その後の見え方が大きく変わるという点です。
- 黄斑が剥がれる前に手術できた場合網膜が復位すれば、視力は剥離前の状態に戻ることが期待できます
- 黄斑が剥がれてから手術した場合網膜が復位しても、視力が完全には戻らないことがあります。剥離していた期間が長いほど予後が悪くなる傾向があります
だからこそ、前兆に気づいたらその日のうちに受診する ことが、手術の種類以上に視力を左右します。網膜剥離は「いかに早く治療を始めるか」が予後を決める病気なのです。
よくある質問
Q 強膜内陥術と硝子体手術、どちらがよいのですか?
Q 強膜内陥術は痛いですか?麻酔はどうしますか?
Q 入院は必要ですか?どのくらいかかりますか?
Q 診断されたらすぐ手術ですか?待っている間に悪化しませんか?
Q 手術のあと、うつ伏せ姿勢は必要ですか?
Q 手術で入れたシリコンは、ずっと目に入れたままですか?
Q 術後に近視が強くなると聞きました。本当ですか?
Q 手術をすれば、見え方は元どおりに戻りますか?
Q 一度治った網膜剥離は、再発しますか?
Q 費用はどのくらいかかりますか?保険は使えますか?
強膜内陥術(強膜バックリング)は、眼の外側からシリコン素材で壁を凹ませ、裂孔をふさいで網膜を復位させる手術 です。比較的若い方や有水晶体眼の裂孔原性網膜剥離に向き、内側からの硝子体手術とは剥離の状態に応じて使い分けられます。確立された手術ですが、近視化などの屈折変化や再剥離といったリスクもあり、術後の経過観察が大切です。
そして何より強調したいのは、網膜剥離は早く治療を始めるほど視力を守れる緊急の病気 だということです。手術前に黄斑が剥がれているかどうかで、その後の見え方は大きく変わります。「飛蚊症の急増」「光視症」「視野のカーテン」を感じたら、手術の種類を調べるより前に、その日のうちに眼科を受診してください。診療時間外でも、総合病院の救急窓口に連絡すれば対応できる眼科を案内してもらえます。
網膜剥離そのものの全体像は 網膜剥離の解説ページ、裂孔だけの段階で行う予防的なレーザー治療は 網膜光凝固の解説 もあわせてご覧ください。