アミノグリコシド系抗菌薬とは
アミノグリコシド系抗菌薬は、細菌をやっつける「抗菌薬(抗生物質)」のなかでも歴史のあるグループのひとつです。眼科では、結膜炎やものもらい、角膜の感染症など、細菌が原因で起こる目の病気に対して点眼薬として使われます。
このグループの大きな特徴は、「グラム陰性菌」と呼ばれるタイプの細菌、なかでも緑膿菌(りょくのうきん)という手ごわい菌に対して比較的強く働く点です。現在、目の感染症ではキノロン系という別のグループの薬が広く使われていますが、菌の種類や効きにくさによっては、このアミノグリコシド系が選ばれることがあります。いわば「もうひとつの大事な選択肢」として位置づけられているお薬です。
どんなしくみで効くのか
細菌は、生きて増えていくために自分専用の「タンパク質」を絶えず作り続けています。このタンパク質づくりの工場にあたるのが、細菌の中にある「リボソーム」という部品です。
アミノグリコシド系のお薬は、このリボソームにくっついて、細菌が正しいタンパク質を作れないように邪魔をします。設計図どおりに部品が組み立てられなくなるため、細菌は増えることができず、やがて死んでいきます。これが「タンパク質合成を阻害する」という働きです。
人間の細胞にもタンパク質を作るしくみはありますが、細菌のリボソームとは形が少し違うため、この薬は細菌側を選んで攻撃します。とくにグラム陰性菌・緑膿菌といった、外側のバリアが厚くて他の薬が効きにくい菌に届きやすいのが、このグループの強みです。
主な薬の種類
眼科でよく使われる代表的なアミノグリコシド系点眼薬には、次のようなものがあります。いずれも後発品(ジェネリック医薬品)が用意されている場合があります。
| 商品名(一般名) | 特徴 |
|---|---|
| トブラシン(トブラマイシン) | グラム陰性菌・緑膿菌などに用いられる点眼薬 |
| ゲンタマイシン点眼液 | 古くから使われてきた基本的なアミノグリコシド系点眼薬 |
どの薬を使うかは、菌の種類や症状、これまでの治療経過などをふまえて医師が判断します。同じグループでも細かな使い分けがあるため、自己判断で市販品や手元の残り薬を使うのは避けましょう。
どんなときに使うか(適応)
主に、細菌が原因と考えられる目の表面の感染症に使われます。具体的には、目が赤くなり目やにが増える細菌性結膜炎や、まぶたのふちにできるものもらい、角膜(黒目)の感染症などが対象になります。
とくに緑膿菌などグラム陰性菌が関係している、あるいはその疑いがある場合や、よく使われる薬では効きにくいと判断された場合に、選択肢として登場します。なお、ウイルスやアレルギーが原因の目の炎症には抗菌薬は効きません。原因を見きわめることが大切ですので、症状が続くときは自己判断せず眼科で診てもらいましょう。
副作用・注意点
点眼薬として目に使う場合、副作用は比較的軽いことが多いとされますが、次のような点に注意が必要です。効果や副作用の出かたには個人差があります。
- 目の刺激感・かゆみ・充血:さしたあとにしみる、かゆい、赤くなるといった症状が出ることがあります。
- アレルギー・かぶれ:長く使っていると、まぶたや目のまわりがかぶれたようになることがあります。
- 長期・漫然使用は避ける:必要以上に長く使うと、効きにくい菌が増える(耐性)原因になることがあります。
気になる症状が出たときや、決められた期間を過ぎても良くならないときは、自己判断で中止せず、眼科医に相談してください。
上手な使い方
点眼薬の効果をきちんと出すために、次のポイントを意識しましょう。
- 点眼の前後は手をきれいに洗います。
- 容器の先がまつ毛やまぶた、目に触れないようにします(雑菌の混入を防ぐため)。
- さした後はまばたきをせず、目を閉じて少し待つと薬が行きわたりやすくなります。
- 他の目薬も使う場合は、少し時間をあけてからさします。
- 症状が軽くなっても、医師から指示された期間は勝手にやめないようにします。
使う回数やタイミングは症状によって異なります。具体的な使い方は処方時の説明や添付の指示に従い、迷ったら薬剤師や眼科医に確認しましょう。
よくある質問
Q. キノロン系の目薬とどう違うのですか? A. どちらも細菌に効く点眼薬ですが、得意とする菌の種類やしくみが異なります。アミノグリコシド系は緑膿菌などグラム陰性菌に強いのが特徴で、菌の種類や効きにくさに応じて医師が使い分けます。
Q. 症状が良くなったら途中でやめてもいいですか? A. 見た目が良くなっても菌が残っていることがあり、途中でやめると再発したり耐性菌の原因になったりします。自己判断で中止せず、指示された期間は続けてください。
Q. 市販の抗菌目薬で代用できますか? A. 菌の種類や濃度が異なり、原因に合わないことがあります。症状が続く目の感染症は、まず眼科で原因を確かめることをおすすめします。
このページは一般的な情報をまとめたものです。効果や副作用の現れ方には個人差があり、すべての方に当てはまるわけではありません。目の症状が続く・悪化するときや、薬の使い方に不安があるときは、自己判断で中止せず、眼科医に相談・受診をおすすめします。