セフェム系抗菌薬とは
セフェム系抗菌薬は、細菌による感染症を治療するために使われるお薬のグループのひとつです。眼科では、細菌が原因で起こる結膜炎(白目の充血や目やに)や、まぶた・角膜などの感染に対して、点眼薬として処方されることがあります。
このお薬は「β-ラクタム系(べーたらくたむけい)」と呼ばれる大きなグループに属しています。同じ仲間にはペニシリン系などもあり、いずれも細菌そのものに働きかけて増殖を抑える点が特徴です。比較的幅広い種類の細菌に効果が期待でき、眼科の感染症治療で古くから使われてきた、なじみのある系統です。
ここでは、セフェム系の点眼薬がどのように効くのか、どんなときに使うのか、注意したい点などを、医師が患者さんにお話しするつもりでわかりやすく解説します。なお、効果や副作用のあらわれ方には個人差がありますので、実際の治療は必ず眼科医の判断のもとで行ってください。
どんなしくみで効くのか
細菌は、自分のからだの一番外側に「細胞壁(さいぼうへき)」という丈夫な殻のような構造を持っています。この殻が、細菌の形を保ち、内側を守る大切な役割を担っています。私たち人間の細胞にはこの細胞壁がありません。
セフェム系抗菌薬は、この「細菌だけが持つ細胞壁」を作る働きを邪魔します。細胞壁をうまく組み立てられなくなった細菌は、自分のかたちを保てなくなり、やがて壊れて死んでいきます。これが、細胞壁の合成を阻害するというしくみです。
人間の細胞には細胞壁がないため、このタイプのお薬は細菌をねらい撃ちしやすいと考えられています。とはいえ、まったく副作用がないわけではありませんので、自己判断で使わず、処方された場合は指示に従ってお使いください。
主な薬の種類
眼科で使われるセフェム系点眼薬の代表として、次のものがあります。
| 商品名 | 一般名 | 特徴 |
|---|---|---|
| ベストロン | セフメノキシム | 用時溶解(使うときに溶かす)タイプの点眼薬 |
ベストロンは、あらかじめ液体になっているのではなく、「用時溶解」といって、使うときに付属の液で溶かしてから使うタイプの点眼薬です。これは、お薬の成分を新鮮な状態で使えるようにするための工夫です。溶かしたあとの保管方法や使用できる期間については決まりがありますので、薬局や眼科で受けた説明をよく守ってください。
(この系統には、個別に解説したお薬のページは現在ありません。)
どんなときに使うか(適応)
セフェム系の点眼薬は、細菌が原因で起こる目の感染症に対して使われます。代表的なのが、細菌性の結膜炎です。結膜炎では、白目が充血したり、黄色っぽい目やにが出たり、目がゴロゴロするといった症状があらわれることがあります。
ただし、結膜炎にはウイルスが原因のものやアレルギーによるものもあり、それぞれ治療法が異なります。抗菌薬は細菌に対して働くお薬なので、原因が細菌かどうかを見きわめることが大切です。症状が似ていても自己判断は難しいため、気になる症状があるときは眼科を受診し、原因に合った治療を受けることをおすすめします。
副作用・注意点
セフェム系の点眼薬では、点眼後に目がしみる、かゆみ、充血、まぶたの違和感などがあらわれることがあります。多くは軽いものですが、症状が強い場合や続く場合は使用を中止し、眼科医に相談してください。
特に注意したいのが、アレルギーです。過去にセフェム系やペニシリン系のお薬(飲み薬・点眼薬を含む)でアレルギー症状が出たことがある方は、点眼薬でも反応が出る可能性があります。これまでにお薬で発疹・かゆみ・腫れなどが出た経験がある方は、必ず事前に医師・薬剤師に伝えてください。
また、症状が良くなったからといって自己判断で途中でやめてしまうと、細菌が十分に抑えきれず、ぶり返すことがあります。副作用のあらわれ方には個人差がありますので、気になることがあれば自己判断で中止せず、眼科医に相談・受診をおすすめします。
上手な使い方
点眼薬の効果をきちんと得るために、次のような点を心がけましょう。
- 点眼の前後には手を清潔にしましょう。
- 容器の先がまつ毛やまぶた、目に直接触れないように気をつけてください(雑菌が入る原因になります)。
- 数滴さしても効果が高まるわけではありません。1回にさす量は決められていますので、指示された使い方を守りましょう。
- 複数の点眼薬を使っている場合は、続けてささず、少し時間をあけてから次の薬をさすと、お互いの効果が流れにくくなります。
- 用時溶解タイプ(ベストロンなど)は、溶かしたあとの保管方法と使用期限を守ってください。
具体的な回数や量は、症状や状態によって医師が判断します。ここでは細かい用量にはあえて触れていませんので、処方時の説明に従ってお使いください。
よくある質問
Q. 症状が消えたら点眼をやめてもいいですか?
見た目の症状が落ち着いても、細菌がまだ残っていることがあります。自己判断で中止するとぶり返すことがありますので、いつまで続けるかは眼科医の指示に従ってください。
Q. ベストロンはなぜ使うときに溶かすのですか?
お薬の成分を新鮮な状態で使えるようにするための工夫です。溶かしたあとの保管や使用期間には決まりがありますので、説明をよく守ってお使いください。
Q. 飲み薬の抗菌薬でアレルギーが出たことがあります。点眼でも大丈夫ですか?
セフェム系やペニシリン系のお薬でアレルギーの経験がある方は、点眼薬でも反応が出る可能性があります。受診時に必ずその旨をお伝えください。
このページの内容は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療に代わるものではありません。効果や副作用のあらわれ方には個人差があります。目の症状やお薬について不安があるときは、自己判断で中止せず、眼科医に相談・受診をおすすめします。