サルファ剤(市販の抗菌目薬)とは
「ものもらいができた」「目やにが出て白目が赤い」といったとき、ドラッグストアで手に取れる目薬の代表が、このサルファ剤を主成分とした「抗菌目薬」です。
抗菌目薬という呼び名から「抗生物質」を思い浮かべる方も多いのですが、じつは少し事情が違います。眼科で処方される抗生物質の目薬(たとえばクラビットなどのニューキノロン系)は、市販されていません。そのため、薬局やドラッグストアで自分で買える抗菌目薬は、現在ほぼサルファ剤が中心になっています。
サルファ剤は古くから使われてきた薬で、軽い細菌感染が疑われる症状に対して、まず自分で試せる選択肢として位置づけられています。ただし、あくまで「軽い症状向け」であり、すべての目の感染症に効くわけではない点を、最初に知っておいていただきたいところです。
どんなしくみで効くのか
細菌も、生きて増えていくためには「栄養」を必要とします。その大切な栄養のひとつが「葉酸(ようさん)」です。葉酸は細菌が自分の細胞をつくったり、増殖したりするために欠かせない材料となります。
私たち人間は、葉酸を食べ物から取り込むことができます。ところが多くの細菌は、葉酸を外から取り込むことができず、自分の体の中で一から作り出さなければなりません。
サルファ剤は、この「細菌が葉酸を作る工程」をじゃまする(阻害する)お薬です。葉酸を作れなくなった細菌は、それ以上増えることができなくなり、結果として感染の勢いが弱まっていきます。
人間の細胞は葉酸を自分で作る必要がないため、細菌だけをねらい撃ちしやすい、というのがこの仕組みの特徴です。なお、細菌をその場で一気に殺すというより、「増殖を抑えて、体の免疫が細菌を片づけるのを助ける」イメージのお薬だとご理解ください。効果のあらわれ方には個人差があります。
主な薬の種類
市販されているサルファ剤の抗菌目薬には、次のような製品があります。主成分はいずれも「スルファメトキサゾール」という同じ系統の成分です。
| 商品名(例) | 主成分 |
|---|---|
| サンテ抗菌新目薬 | スルファメトキサゾール |
| ロート抗菌目薬 | スルファメトキサゾール |
| ティアーレ抗菌目薬 | スルファメトキサゾール |
このほかにも各メーカーから同じ系統の抗菌目薬が販売されています。製品によっては、目のかゆみや充血をやわらげる成分、目に栄養を補う成分などが一緒に配合されているものもあります。配合成分は製品ごとに異なりますので、購入の際は箱や添付文書の表示、薬剤師・登録販売者への相談をおすすめします。
なお、この系統に個別のお薬ページはありません。主成分が共通しているため、選ぶ際は「使い心地」や「一緒に配合された成分」で比べていただくとよいでしょう。
どんなときに使うか(適応)
市販のサルファ剤の抗菌目薬は、おもに次のような軽い症状を想定したお薬です。
- ものもらい(麦粒腫):まぶたのふちが赤く腫れ、軽い痛みがある初期段階
- 結膜炎:細菌が原因と考えられる、軽い充血や目やに
- 眼瞼炎(がんけんえん):まぶたのふちの軽い炎症
このうち結膜炎については、原因によって対処が変わります。細菌だけでなく、ウイルスやアレルギーが原因のこともあり、抗菌目薬が効くのは細菌が原因のタイプです。結膜炎の見分け方や種類については、結膜炎の解説ページもあわせてご覧ください。
市販薬で数日ようすを見ても改善しない、あるいは悪化する場合は、別の原因が隠れていることがあります。自己判断で使い続けず、眼科の受診をおすすめします。
副作用・注意点
サルファ剤は比較的おだやかなお薬ですが、注意していただきたい点があります。
- 過敏症(アレルギー):まぶたのかゆみ・発赤・腫れ、刺激感などがあらわれることがあります。過去にサルファ剤(飲み薬を含む)でアレルギーを起こしたことのある方は、使用を避けてください。
- しみる・違和感:点眼直後に軽い刺激を感じることがあります。
- コンタクトレンズ:装着したまま使ってよいかは製品によって異なります。表示を確認してください。
また、症状が「ものもらい」や軽い結膜炎と思っていても、実際には角膜の感染症など、より注意が必要な病気のことがあります。次のようなときは、市販薬で対応せず早めに受診してください。
- 強い痛みや、目を開けていられないほどのまぶしさがある
- 視力が落ちた・かすんで見える
- 大量の目やにが続く、症状が急に悪化する
副作用の感じ方や効果には個人差があります。気になる症状が出たときは使用を中止し、眼科医や薬剤師にご相談ください。
上手な使い方
点眼薬の効果をきちんと引き出すには、ちょっとしたコツがあります。
- 手を清潔に:点眼の前は手を洗いましょう。
- 容器の先を目やまつ毛につけない:細菌が容器内に入り、かえって不衛生になります。
- 1滴で十分:目に入る量は決まっているため、多くさしても効果は上がりません。
- 点眼後は軽く目を閉じる:目頭を軽くおさえると、薬が目にとどまりやすくなります。
- 数日試して変化を見る:改善しないのに漫然と使い続けないことが大切です。
使う回数や期間は製品の表示にしたがってください。具体的な使用量はここでは触れませんが、決められた目安を超えて使わないようにしましょう。決められたとおり使っても改善しない場合は、自己判断で続けず眼科医に相談・受診することをおすすめします。
よくある質問
Q. 市販の抗菌目薬と、眼科でもらう抗生物質の目薬は同じものですか?
A. 違います。眼科で処方される抗生物質(ニューキノロン系など)は市販されておらず、市販の抗菌目薬はサルファ剤が中心です。市販薬は軽い症状向けで、効きにくい菌や重い感染には対応できないことがあります。
Q. どのくらい使っても治らなければ受診すべきですか?
A. 一般に、数日使っても改善しない、または悪化する場合は受診の目安です。痛みや視力低下を伴うときは、日数を待たず早めに眼科を受診してください。
Q. 予防のために毎日さしてもよいですか?
A. 抗菌目薬は感染の予防目的で常用するお薬ではありません。漫然と使い続けると、効きにくい菌が増える原因にもなり得ます。症状があるときに限って使うのが基本です。
市販のサルファ剤の抗菌目薬は、軽い症状であれば自分で試せる便利なお薬です。一方で、目の感染症のなかには見た目が似ていても放置すると視力に関わるものがあります。効果や副作用には個人差があります。数日で改善しないとき、痛みや視力の変化があるときは、自己判断で使い続けず、眼科医に相談・受診することをおすすめします。