アイテラス eye terrace

ROCK阻害薬とは|効果・副作用・使い方を眼科医が解説

公開: 更新: 最終監修:
目次
  1. ROCK阻害薬とは
  2. どんなしくみで効くのか
  3. 主な薬の種類
  4. どんなときに使うか(適応)
  5. 副作用・注意点
  6. 上手な使い方
  7. よくある質問

ROCK阻害薬とは

ROCK阻害薬(ロック阻害薬)は、緑内障や高眼圧症の治療に使われる比較的新しいタイプの点眼薬です。「ROCK」とは、Rho(ロー)キナーゼという体内の酵素のことで、この酵素のはたらきをおさえることから、こう呼ばれています。

緑内障の治療では、眼の中の圧力(眼圧)を下げることが基本になります。眼圧を下げる点眼薬にはいくつもの種類がありますが、ROCK阻害薬は、それまでの薬とは異なる新しいしくみで眼圧を下げる、日本で生まれたお薬として注目されました。

ほかの点眼薬だけでは眼圧の下がり方が十分でないとき、別のタイプの薬を組み合わせる選択肢のひとつとして使われることが多い系統です。緑内障そのものについては、緑内障の解説ページもあわせてご覧ください。

どんなしくみで効くのか

眼の中は「房水(ぼうすい)」という透明な液体で満たされており、この房水がたえずつくられ、また外へ流れ出ることで、眼圧が一定に保たれています。流れ出る出口がうまくはたらかず、房水がたまってしまうと、眼圧が上がってしまいます。

房水の主な出口は、眼の中の「線維柱帯(せんいちゅうたい)」から「シュレム管」へと続く経路です。ROCK阻害薬は、この線維柱帯・シュレム管の経路に直接はたらきかけ、房水が流れ出やすい状態をつくることで眼圧を下げると考えられています。

これまでの多くの点眼薬は、「房水のつくられる量をおさえる」あるいは「別の出口(ぶどう膜強膜流出路)からの排出を増やす」しくみが中心でした。ROCK阻害薬は、これらとは違う、房水の本来のメインの出口にアプローチする点が特徴で、この新しい機序は日本での研究から生まれました。しくみが異なるため、ほかのタイプの薬と組み合わせたときに、それぞれの効果を補い合うことが期待できます。

主な薬の種類

現在、日本でROCK阻害薬として使われている代表的な点眼薬は次のとおりです。

商品名一般名(成分名)特徴
グラナテックリパスジル世界で初めて実用化されたROCK阻害点眼薬

グラナテック(リパスジル)は、ROCK阻害薬として世界で初めて登場した点眼薬です。新しいしくみをもつことから、ほかの点眼薬で眼圧コントロールが十分でない場合の選択肢として用いられます。

この系統には、現時点で個別に詳しく解説する薬はありません。気になる点があれば、処方を受けた眼科医に直接おたずねください。

どんなときに使うか(適応)

ROCK阻害薬は、おもに緑内障や高眼圧症で、眼圧を下げる目的に使われます。

緑内障の治療では、まず1種類の点眼薬から始めることが一般的です。それだけでは眼圧の下がり方が目標に届かない場合に、しくみの異なる薬を追加したり組み合わせたりして調整していきます。ROCK阻害薬は、こうした「ほかの薬だけでは効果が不十分なとき」に追加する薬として選ばれることが多い系統です。

どの薬を使うか、どう組み合わせるかは、眼圧の値や緑内障のタイプ、ほかにお使いの薬との相性などをふまえて、医師が一人ひとりに合わせて判断します。効果の感じ方には個人差がありますので、自己判断で薬を増減せず、医師の指示に沿って続けることが大切です。

副作用・注意点

ROCK阻害薬で特に知られているのが、点眼後の一時的な結膜充血です。これは、薬が血管にはたらきかけることで起こるもので、点眼してしばらくすると白目が赤くなることがあります。多くの場合は時間とともに自然におさまっていきますが、見た目が気になって心配される方も少なくありません。

そのほか、点眼した部分のかゆみやしみる感じ、まぶたのふちの炎症(眼瞼炎)などがあらわれることもあります。

副作用のあらわれ方や程度には個人差があります。充血が強く続く、目の痛みやかすみがとれない、まぶたの腫れがひどいなど、気になる症状があるときは、自己判断で中止せず、早めに眼科医に相談してください。ほかの薬を使っている場合は、その内容も医師・薬剤師に伝えておくと安心です。

上手な使い方

点眼薬は、正しく使うことで効果を発揮しやすくなります。一般的なコツをご紹介します。

使う回数やタイミングは薬や症状によって異なります。具体的な使い方は、必ず処方を受けた際の指示や添付の説明に従ってください。

よくある質問

Q. 点眼した後に白目が赤くなりますが、大丈夫でしょうか?

A. ROCK阻害薬では、点眼後に一時的な結膜充血が起こりやすいことが知られています。多くは時間とともにおさまっていきますが、赤みが強く続く、痛みをともなうなど気になる場合は、自己判断で中止せず眼科医にご相談ください。

Q. ほかの緑内障の点眼薬と一緒に使えますか?

A. ROCK阻害薬は、ほかのタイプの薬だけでは眼圧が十分に下がらないときに追加されることが多い薬です。組み合わせや順番は医師が判断しますので、現在使っている薬をすべて医師・薬剤師に伝えたうえで指示に従ってください。

Q. 充血が気になるので、自分で使うのをやめてもよいですか?

A. 自己判断での中止はおすすめできません。緑内障の治療は眼圧を下げ続けることが大切で、勝手にやめると進行につながるおそれがあります。気になる症状があるときは、まず眼科医に相談しましょう。


ここでご紹介した内容は一般的な情報です。お薬の効果や副作用のあらわれ方には個人差があります。症状や治療方針はお一人おひとり異なりますので、自己判断で点眼を中止・変更せず、気になることがあれば眼科医に相談・受診をおすすめします。